セレンディピティの逃亡劇 [番外編] 何だか感じの悪い人ってのが第一印象だったわ。 人の事を何かを探るようにじろじろ見てほんと、感じ悪かった。 と思ったらいきなり話し掛けてきて… 「君、名前は?」 礼儀として普通は自分から名乗るものよね。 だから私、答えなかったわ。 「嫌よ。教えたくないわ」 って言って、じっとあなたの事睨んだ気がする。 「…」 「…」 そのまま無言。 そしたら運が悪いのか良いのか、列車が来て会話は中断。 後になってその“感じの悪い人”がドラコ・マルフォイだと知ったけどね。 「そんな事あったのか?」 「何?覚えてないの?」 数年後の私達、今はどんな関係かしら。 「…全然記憶にない」 隣でマルフォイが腕を組んで唸りながら言っている。 酷いわね。覚えてないなんて。覚えていたのは私だけって事か…。 「とにかく、今夜が出発ね」 私は伸びをして太陽に向かって言った。 この太陽が沈んだ頃にはハグリットの小屋の中。 …。何だかドキドキするわ。こんな事初めてだもの。 もちろん、最後でもあるけど。 遠くで私の名前が聞こえた。 恐らくロンかハリーだと思う。 …行かなくちゃ。 「じゃあ、今夜ね」 「ああ…」 軽く手を振って私はその場からかけて行った。 真夜中、私はこの空を箒で飛んでいるかしら。 そしたらハグリットの小屋に行ってマルフォイと再会するのよね。 「ハーマイオニ―、何処行ってたのさ」 「ごめんね、ちょっと…」 「早くしないと次の授業遅れちゃうよ」 ハリーとロンに笑いかけながら私は次の授業へと急いだ。 ※別にあってもなくてもいい話。 |